教員資格認定試験(高校情報)の傾向と対策 2

教員資格認定試験

令和 7 年度の教員資格認定試験(高等学校教諭一種免許状:情報)に合格しました。本連載では、現役の IT エンジニアが働きながらどのように対策を立て、合格に至ったのか、その過程を記録として残します。令和 8 年度の同試験の願書受付は既に開始されていますので、受験を迷われている方や対策を開始されている方の参考になれば幸いです。

第 2 回の投稿では、第 1 次試験の概要と、傾向と対策についてまとめます。 前回触れたように、令和 7 年度の合格率は 33.1 % で、私の肌感覚としては多くの人が第 1 次試験で脱落していました。したがって、この第 1 次試験の対策を万全にしておくことが、合格へのクリティカルパスとなります。

第 1 次試験の概要

試験の詳細は必ず最新の受験案内をご確認ください。

  • 期日: 令和 8 年 5 月 10 日(日)
  • 試験方法:
    • マークシート(70 分):
      • 「教育の基礎的理解に関する科目」
      • 「道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目」に関する専門的事項
      • 高等学校「情報」に関する事項
    • 論述式(60 分):
      • 教職への理解及び意欲、生徒理解、実践的指導力等、高等学校教員として必要な能力等の全般に関する事項

過去の実績(過去問参照)では、マークシートは 4 択問題が 20 問出題され、6 割の正解で合格となります。また、論述式(小論文)は 2 問(各 400 字)出題され、合格・不合格の 2 段階評価で判定されます。おそらく 2026 年度も同程度の水準だと思っていいでしょう。

ここで重要なルールがあります。それは、マークシートで合格基準に達しないと、論述式は採点されない ということです。つまり、マークシートでの 6 割確保は、努力目標ではなく絶対に越えなければならないライン(足切り)となります。

基本的な対策の方針

まず前提として、私は 3 月に入ってから願書の提出を行いました。そのため、第 1 次試験までは 2 ヶ月ほどしか時間がなく、悠長に対策している時間はありませんでした。

また、メタ的な読みとして、国がわざわざ高校情報の教員資格認定試験を復活させている以上、人材の確保に積極的であると推測できます。つまり、試験は「最低限の基礎教養が身についているかの確認作業」であり、意地悪な奇問を出して受験者をふるいにかけるためのものではない、と考えました。

以上から、「過去問を徹底的に分析し、そこから逸脱しない範囲でヤマを張る」という方針を立てました。最低限おさえておいて欲しいと出題者が思っている領域は、既に過去問という形で世に出ています。その範囲を確実に抑えれば、合格ラインの 6 割は確保できるであろうという計算です。

マークシートの傾向と対策

マークシートに関しては、とにかく過去問の分析につきます。 高校情報の直接的な過去問はまだ 2 年分しかありませんが、これは必須として、あとは問題傾向がほぼ同様である(私調べ)「小学校教員資格認定試験」の過去問も分析対象とするとよいでしょう。なお、幼稚園と特別支援学校の過去問は見なくてよいと思います。

生成 AI を活用した「自作アプリ」による暗記

具体的な学習法としておすすめしたいのが、生成 AI に問題を解説してもらったり、似たような問題を作問してもらうことです。さらに、クイズを出題するようなウェブページを生成 AI に作ってもらい、隙間時間にスマホからアクセスして、ひたすら暗記を繰り返すのが効率的です。

「ウェブページを作る」というのはハードルが高く感じるかもしれませんが、高校の情報教員を目指すのであれば、これくらいの技術活用はチャレンジの範囲内でしょう。

私の場合、Web ページを単一の HTML ファイルとして生成してもらい、Amazon S3 にホスティングしました。本番と同じ 4 択形式にしようとすると選択肢の生成が面倒なので、「Q. ~~~を提唱した人は?」「A. ~~~」のようなシンプルな一問一答形式にしました。[次へ] ボタンを押すたびに解答と次の問題が表示されるだけの単純なものです。

最終的に自作した問題数は 300 問程度になりました。この規模であれば、無料枠の生成 AI でも問題なく生成してくれます。また、ホスティング先は Amazon S3 でなくとも、GitHub Pages や Vercel など、現在は手軽なサービスが多数あります。通勤電車などの隙間時間に、この自作アプリをひたすらポチポチ進めるのが私の学習の基本スタイルでした。

書籍の選定

参考書籍はいろいろと購入しましたが、結局効果があまりなかったものもあります。いま買い直すとしたら、以下の 3 点に絞ります。

  • 教員採用試験対策本のうち、薄めの参考書
    • 詳しい解説や問題集は、過去問をベースに生成 AI に作ってもらえばよいため不要です。
    • しかし、AI が「教員採用試験」というコンテキストにおいて重要な関連要素を見逃す可能性があるため、それを補完するために全体像がわかる薄い参考書が一冊あると安心です。
  • 「情報 I」の暗記帳
    • マークシートの全 20 問のうち、2 問程度は情報科からの出題があるため、キーワードの暗記用に必要です。
    • こちらも参考書や問題集までは不要です。
  • 学習指導要領
    • マークシートの全 20 問のうち、教育基本法、学校教育法、学習指導要領(総則、情報、総合的な探究の時間、特別活動)あたりの出題が頻出です。
    • これについてはアプリのクイズ形式ではなく、紙に書き込みながら覚える方が定着しやすいと感じました。
    • 私は学習指導要領を 1 冊買い、必要な部分だけをカッターで切り取って薄く製本し直し、隙間時間に読み込みました。また、過去問で出た箇所に★マークをつけたり、穴埋め箇所の予測を書き込んだりしました。
    • もちろん、文部科学省のサイトで PDF を閲覧 できるので、デジタル派の方はそちらでも十分でしょう。なお、「学習指導要領(解説編)」からの出題もありますが、分量が多いので私は PDF 参照で済ませました。

論述式(小論文)の傾向と対策

論述式については、教育界のホットトピックを調べ、それを 高校情報の教員の観点から 400 字にまとめる練習をひたすら実施しました。自分のこれまでの社会人経験やエンジニアスキルと紐づけると書きやすいと思います。

トピックについては、第 4 期教育振興基本計画 に登場するキーワード(ウェルビーイングの実現、ヤングケアラーへの支援、教育 DX の推進など)が、R6 ~ R7 の論述テーマとしてそのまま出題されています。また、R7 で出題された「カリキュラム・マネジメント」は 学習指導要領改訂のポイント の一つです。したがって、これらの資料に登場するキーワードを抑えておくことは必須です。

ちなみに、私は以下のテーマについてヤマを張っていました。私が対策してから本ブログの執筆時点で 1 年が経過していて、また違ったトピックがホットになっているかもしれませんが、参考になれば幸いです。

  • 第 4 期教育振興基本計画: 持続可能な社会の創り手の育成、主体的・対話的で深い学び、多様な教育ニーズへの対応、生涯学習
  • 初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン: 生成 AI の活用
  • 令和の日本型学校教育: 生徒を主語にした高等学校、個別最適な学び&協働的な学び

エンジニアとしての「書き方」のコツ

「高校情報の教員の観点から」という部分については、これまでの得意分野を活かす方向か、生成 AI に絡める方向だと作文がしやすかったです。

例えば「カリキュラム・マネジメント」という教育用語に対し、以下のように生成 AI を絡めるようなイメージです。

「カリキュラム・マネジメントでは PDCA を回して継続的に改善していくことが求められているが、生徒一人ひとりの興味関心や理解度、学習ログなどを生成 AI で要約・分析する。それによって、客観的なデータに基づいた指導計画の改善を行う……」

このように、エンジニアとしての知見(データ分析、AI 活用)を教育用語に接続することで、独自性のある論述が可能になりますと思います。

論述対策としての参考書は特に不要かと思います。教育時事の解説本はあってもいいかもしれませんが、個人的には一次情報(文科省のページ)にあたる方が好みでした。

まとめ

第 1 次試験は、わずか 2 ヶ月の準備期間でも、過去問分析と生成 AI の活用、そして IT エンジニアならではの視点を活かす小論文対策で十分に突破可能です。特にマークシートでの足切りを回避するため、隙間時間を徹底的に活用した暗記戦略が重要になります。

次回の記事では、第 2 次試験の傾向と対策を、私の経験を元にお話していきます。

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